きこえる？/橋本あおい(ネタバレ・感想)純粋で一途、だけど切ない傑作BL

ライラ

こんにちは、BL歴25年のライラです
BL沼にハマり、今まで累計5,000冊のBLを読みました！

橋本あおい「きこえる？」のネタバレ込みの感想をご紹介します。

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きこえる？『カップリング』

ライラ

ラジオDJと大学生という珍しいカップリングは必見

きこえる？『BLジャンル』

ライラ

攻めは若干のヘタレ要素あり！
受けは健気でピュアな子です

きこえる？【あらすじネタバレ】まとめ

主人公・桜橋樹の世界は、ラジオDJのユノを中心に動いている。
朝4時まで続くラジオ放送を、いつも楽しみにしていた。

ある日、近所の本屋さんで聞こえてきた声に、身体が衝動的に動く。
「ユノさんですよね？！」と、飛びつかんばかりの勢いで腕を掴んでしまう。

その直後には我に返ってワタワタしたが、その男はユノに間違いなかった。
ユノから誘われて、近所の喫茶店に行くことに。

樹は昔から、人と話すことが苦手だった。
考えていたことが上手く口から出てこなくて、ユノさんだったらきっとこんな風に言うんだろうな…と後悔するのが常だった。

樹はぽつぽつと、自分の情けなさとユノへの憧れを口にする。

ユノは、優しかった。
「君が俺のラジオを好きでいてくれてること、俺にはちゃんと伝わったよ」と言って笑ってくれた。
過去の失敗談を話してくれたり、アドバイスをくれたり。

それに、ラジオの公開収録で遠目にしか見たことがなかったユノは、近くで見るととてもイケメン。

樹はユノが肯定してくれたことが嬉しくて、ユノが自分の気持ちを汲み取ってくれたことが嬉しくて、「ユノさんのこと大好きです…！！」と大声で告白。（恋愛の意味ではない）

翌日、樹は頑張った。
遊びに行くときは決まって幼馴染みの拓真と2人だったけれど、中学生の頃以来久しぶりに、大人数で遊びに行ったのだ。

帰宅するとベッドに倒れ込んでしまうほど、身体はとても疲れていたが、心は不思議と充足感に満たされていた。
ユノのラジオを聞きながら、初めてラジオメールを送った。

ユノの目に止まるといいなあと、どきどきしながらベッドの上で丸くなる。
いつの間にか、眠りに落ちていた。

目が覚めたとき、ラジオはちょうどメール紹介コーナー。
樹の、小学生の作文のような投稿を、ユノは読み上げてくれた。
褒めてくれて、「頑張れなくなったらいつでもおいで」という意味深なことを言う。

あの本屋のことかな。
行ったら会えるのかな。
樹は、こんなに誰かに会いたいと思うのは初めてのことだった。

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きこえる？を読んだ感想

ラジオDJといちリスナーという関係でしかなかったユノと樹が、ゆっくりと恋をするお話です。

樹はユノに憧れていて、ユノに大好きだと言いますが、それは恋愛感情じゃなくて、人として好きだという意味で、憧れの好意です。

樹はとても純粋で天然で無垢な子です。
人付き合いが苦手な子なので、男子によくある猥談に接する機会もなかっただろうし、もちろん女の子と付き合ったこともないですし、まったくスレていない子なんです。

だから樹の気持ちがいつ恋に変化したのか、何度読み返してもよくわかりません（笑）。

何度か本屋さんで顔を合わせるうちにだんだん好きになったのかもしれないし、出会う前のラジオを聞いているだけの段階から好きだったのかもしれません。

逆にユノの感情はとても分かりやすいです！
樹をみて、うさぎやハムスターのような小動物に重なって見えて、可愛い愛でたいと思っています。
わりと早い段階で、自分の中の熱量を自覚します。

ユノのラジオはリスナーとの距離感がとても近くて、ヘビーリスナーとは飲みに行くことがあるほどでした。
でもその他大勢のリスナーには絶対に抱かない感情を樹に対しては抱き始めて、ついには仕事中に上の空になってしまうんです。

大人なユノは、これはまずいと、自分の気持ちにブレーキをかけようとします。

順調に距離を縮めていっていた二人は、ここからとても切ない展開を迎えます！！

樹は大号泣していましたが、

「私はなんでそうなる！このヘタレ攻めめ！！」と、見ていてめちゃくちゃイライラしてしまいました。

ものすごくもどかしかったです。

だからこそ、後半の展開はとても嬉しかったです。
ユノは自分が思っている以上に、そして読者が思っている以上に樹に惹かれているんです。
そして、とても大切にします。
樹のことを否定せず、我を通すこともせず、樹を尊重するんです。

最終的にはヘタレ攻めというより溺愛攻めという感じになっていました（笑）。

最初は平坦な話だなーと読み進めていたんですが、なんだかんだ感情移入して楽しんでしまいました。
エロはほとんどありません。
ユノは純粋培養の樹のペースに合わせて、付き合い始めてから8ヶ月も未結合な時を過ごします。

ライラ

ピュアで一途で切なくて焦れったい恋模様は、きっと読者の胸をあたたかくさせてくれるはずです！

恋愛をすることで、人は良い方向に成長出来ます。
逆に恋愛に夢中になるあまり、やらなければならないことが疎かになってしまうこともあります。
そういう恋愛の楽しさと苦しみが、とてもリアルに描かれています。

ドラマCD化されている、心理描写メインの傑作です！

しっとりとした作品なので、夜更かしした日の寝物語としておすすめです。
「気づいたらもうこんな時間！」となってしまった夜、ぜひ読んでみてください。
とても幸せな眠りにつけると思います！！

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