性の不一致が辛い
痛い・切ない
BL沼にハマり、今まで累計5,000冊のBLを読みました!
井戸ぎほう「夜はともだち」のネタバレ込みの感想をご紹介します。
- 一途で焦れったい恋に胸キュンしたい人
- 一風変わった設定のBLを読みたい人
- 高クオリティーなBL漫画を心ゆくまで堪能したい人
- キャラクターの心理描写やストーリー性を重視して読みたい人
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夜はともだち『カップリング』
似非S
×
真性ドM
(隠れ)S
大学生
寡黙
健気
大学生
ズーンと心に響く深いストーリーです!
夜はともだち『BLジャンル』
病み
シリアス
切ない
大学生
攻め目線
夜はともだち【あらすじネタバレ】まとめ
真澄龍一は、至って普通の大学生。
愛想がよく、友達もそれなりにいる。
しかし最近は、同級生の飛田白に夢中だった。
飛田はいつも無表情で口数も少なく、何を考えているんだかさっぱりわからない。
そんな飛田と交流するようになったきっかけは、ある男と飛田が痴話喧嘩を繰り広げている現場に遭遇したことだった。
真澄は放っておけずに話しに割って入り、結果的に、飛田がその男と別れられるように手助けをしたのだ。
その後の話しの流れで、飛田が魔性のドMであり、男から痛めつけられないと興奮できない性癖の持ち主であることを知ってしまう。
好奇心に駆られた真澄は、飛田のことをいじめる“S役”を買って出ることに。
真澄は”S役”に徹するためにネット上で調べたりして、飛田とのSM行為をそれなりに楽しんでいた。
飛田を縛ったり足で踏みつけたり、たまにモノを咥えさせたりしていたある日。
真澄はふと、飛田のお尻へと手を伸ばした。
お尻をいじるのはこの日が初めてだったのだが、真澄が指を入れた瞬間に、飛田はものすごい喘ぎ声を上げ始める。
あまりの飛田の感じっぷりに、「お尻の経験があるんだな…」と確信する真澄。
真澄は飛田のことを言葉責めしつつ、「他のヤツにはさせておいて、俺にはさせられないことがあるのか」となじり、犯した。
飛田は泣きながら喜んでいたし、感じまくっていたし、真澄自身もそんな飛田を見て興奮していた。
真澄は「いじめるのがクセになったらどうしよう…」と不安になる一方で、至って普通の”恋人同士”のような関係性を望む自分もいることに気づいてしまう。
飛田と食事をしたり、デートをしたりしたいと願う真澄。
しかし飛田が嬉々とした表情を見せるのは“プレイの間”だけだった。
飛田は、”プレイの最中”以外は無表情で、何に対しても興味がなさそうな顔をしている。
決定的な価値観の違いがあることに気づいた真澄は、飛田に八つ当たりしてしまい…?!
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夜はともだちを読んだ感想
『夜はともだち』は、SMを題材にした穏やかな一冊です。
エロスに溢れたSMではなく、心理描写に軸を置いた、めちゃくちゃ深みのあるストーリー。
ストーリー重視な人、心理描写重視な人に全力でおすすめします!
一般的に、恋愛を成立させる上で性癖の一致ってかなり重要な部分じゃないですか。
真澄×飛田は、そこがまったく噛み合わないんですよね。
真澄はSを演じてはいるけど、本当のところはノーマル。
飛田との関係が親密になるにつれて、「デートしたい」「SMじゃなくて普通のセックスがしたい」「イチャイチャしたい」みたいな、いたって普通の欲求を抱き始めます。
でも飛田はドMで、真澄の言う「普通」が理解できないのです。
“プレイ中”以外は、笑うどころか表情筋を動かすこともなく、常に真顔。
真澄から「楽しくない?」と聞かれても、「わからない」と真顔で答えるんですよ。
正直、途中までは飛田の気持ちがまっったく理解できませんでした(笑)!
無口で無表情で、いっつもつまらなそうな顔をしている飛田。
“プレイの最中”だけは恍惚とした表情で、真澄のことを見つめる飛田…。
飛田が欲しいのは”いじめてくれるご主人様”であって、真澄でなくてもいいんですよね、きっと。
真澄も薄々そのことに気づいて、どす黒い気持ちが渦巻いて、DVもどきの暴力行為に走ってしまったり、かなりシリアスな方向に進んでしまいます。
そんな行為の最中でも、飛田は悦ぶ。
真澄には、それがもどかしくてたまらない。
真澄はただ、普通に食事をして飛田と笑い合ったり、楽しくデートをしたりしたかっただけなんですよね。
そこで実際に、真澄は飛田に”SMなしの普通のセックス”を仕掛けますが、飛田がそんな行為に満足できるはずもなく…。
性癖の噛み合わなさによるすれ違いが、切なくて痛々しくて、私は何度も読むのを中断してしまいました。
描かれている内容が深すぎて、あわやバッドエンドかと思わせる部分が多くて、正直しんどかったです(笑)。
ところが、終盤で大どんでん返しが起こります!!
あれだけ無気力で能動的だった飛田が!!
真澄に対して、最大限の愛を説きます!!!!!
最初の印象では、飛田を悦ばせるべくSに徹する真澄のことを「健気だなぁ」と感じたんですが、最後まで読むと飛田の健気さに泣けて泣けてやばかったです…。
飛田は、ゲイではない真澄の将来には、結婚とか子どもを作って幸せになるのがふさわしいと思っていて、その将来に自分は要らないだろうなと自覚しているんですよ。
飛田が真澄に伝えたのは、「気が向いたら、俺に会いに来て」っていう言葉だけ。
飛田はこれから先一生、(いつか真澄が会いにきてくれるかも)っていう漠然とした約束だけを望みに生きていくんです…。
もう私の語彙力が拙すぎて辛いですが、これが飛田なりの愛の形だったんだろうなと。
飛田は真澄と同じように”楽しい”と感じることはできないし、真澄が言う「普通のセックス」で”達する”こともできなかったけど、一生を誓えるくらいに、真澄のことを大事に想っていたんだな、と。
……と、ここまでシリアスにまとめておいて何なんですが…もちろん、物語はハッピーエンドです!!
性癖も価値観も噛み合わない真澄×飛田の恋がどうなるのか、ぜひチェックしてみてください。
さらっと読めるお話ではないので、休日の前日あたりの夜にじっくりガッツリ時間を割いて読むことをおすすめします!
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