一途攻め

初恋が牙をむく/英数字(ネタバレ・感想)13年前に好きだった人に再会。一途な純愛に心が抉られる名作

ライラ
ライラ
こんにちは、BL歴25年のライラです
BL沼にハマり、今まで累計5,000冊のBLを読みました!

英数字「初恋が牙をむく」のネタバレ込みの感想をご紹介します。

このBLをおすすめできる人

焦れったい恋の話を読みたい人
一途な恋模様にきゅんきゅんしたい人
心理描写重視な人

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当記事はネタバレ込みの内容になっているので、ご注意ください!

 

初恋が牙をむく『カップリング』

芸能マネージャー × 在宅プログラマー

ライラ
ライラ
2人は元恋人同士の設定です!

 

初恋が牙をむく『BLジャンル』

一途受け
一途攻め
再会
元恋人
同級生
シリアス
純愛

ライラ
ライラ
初恋が実るというシリアス&純愛ストーリーです!

 

初恋が牙をむく【あらすじネタバレ】まとめ

主人公・家田晃生には高校生の頃、嵯峨という恋人がいた。

自身がゲイである可能性に気づき戸惑っていたところに「俺もそうだ」と言って受け入れてくれて、付き合うようになるのは自然な流れだった。

晃生の家でこっそりと、初めてのキスをした。

 

ところがそこに、10歳近く年の離れた弟・南がやってきてしまう。
「その人だれ?何してたの?」
その質問に、晃生は答えることが出来なかった。

 

翌日から南は酷く人見知りになり、何も喋らなくなってしまった。
晃生は責任と罪悪感に押しつぶされそうになり、嵯峨のことを避け続けた。

出来るだけ南の傍にいるようにした。

結果、しばらく経って南は言葉を発するようになったけれど、キスを目撃した日の記憶はすっぽりと抜け落ちているようだった。

 

そしてその直後には、親の転勤で引っ越すことに。
嵯峨と話してしまったら戻れなくなりそうで、何も言えないまま、それっきり。

もう13年近く前の話だ。

 

今の晃生は在宅でプログラミングの仕事をしながら、18歳になった南と二人暮らしをしている。

引っ込み思案で内弁慶だった南だが、芝居サークルに所属していて、アマチュア演劇なんかをやっているらしい。

そこでとある芸能事務所からスカウトされ、「俳優になる」と言い出した。

 

晃生は反対したが、両親は「人見知りの南が人前に出る仕事を目指すのはいいことだ」と賛成している。
南の熱心さと両親のやる気に押され、晃生は一度事務所に挨拶に行くことに。

 

事務所で南の担当者だと現れた男は、なんと嵯峨だった。

晃生はとても驚いたが、嵯峨の表情に変化はない。

 

事務所のパンフレットを渡され、南がレッスンを受けている姿を見せてもらう。

2人っきりになったタイミングで、晃生は久しぶりだと、俺のこと覚えてないかと切り出した。

嵯峨は、よくその話出せるなと言った。
やっと忘れられたと思っていたのに、と。

もう昔の話はしないでください、と明確に拒絶されてしまう。

 

晃生は今日、南の保護者としてここにきた。
南に関する今後のビジョンも教えてもらったし、ひいき目抜きに、良い事務所なのだと思った。
南の背中を押して、嵯峨にもこれから宜しくお願いしますと伝えて、必死に平静を装った。

けれど、一人になると涙が頬を伝った。

 

南の面倒を見ることでいっぱいいっぱいで、考えないようにしていた。

嵯峨のことが好きだった。

ずっと、ずっと会いたかった。

晃生はずっと、嵯峨に恋する高校生のまま、動けずにいたのだ。

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初恋が牙をむくを読んだ感想

この漫画の奥深さと切なさを表わした『初恋が牙をむく』というタイトルがもうすでにすばらしいです!

しまい込んでいた、思春期のころにキスをしたっきりの淡い初恋。
切なさと虚しさを伴いつつも、優しい思い出として胸の中に残り続けていました。

そのあたたかな思い出が、数年越しに牙をむいて胸を抉るお話です。

 

この漫画に大きな事件はありません。
晃生の心理描写を主軸として、静かに進んでいく大人のラブストーリーです。

読んでいると、どんどんこの漫画の世界に惹き込まれていきました。
キャラクター性が深くて、読み応えが抜群なんです!

 

晃生は嵯峨と再会したことで、ずっと考えないようにしていたことに思いを馳せるようになっていきます。
「あのときこうしていたら」という後悔や、「もしこうなっていたら」という期待なんかがとても人間くさくて、見ていてドキドキさせられました。

 

晃生は嵯峨に対して、未練があります。

そして申し訳なさや気まずさをたくさん抱えているので、嵯峨とうまく目を合わせられなかったり、南に対しても後ろめたさがあったりするんですが、その表情がすごいんです!
伏し目がちな目、見開いた目など、そういう雰囲気がとてもうまく表現されているんです。

 

嵯峨視点は少ないんですけど、抜群のタイミングでぽんっと出てきます。

無口で無表情な攻めが実は心の中で受けのこと大好きなのが分かるのって破壊力がすごいですよね?!

・・・そういうことです、萌えが濃縮されています!

 

再会した直後、晃生は嵯峨から「昔の話をしないで」という風なことを言われて胸を抉られました。
嵯峨も、晃生からさらっと過去の話を切り出されたことで、あのときあんなに傷ついた自分のことをなんだと思ってるんだ、と傷ついたのだろうと思います。

だけど最後まで読んで、「相手から牙をむかれた」ではなくて、晃生も嵯峨もそれぞれ、「自分の中にしまいこんでいた初恋の思い出から牙をむかれた」のだと思いました。

 

見終わったあとには、とてもあたたかいような、終わってしまってちょっと寂しいような、まるで映画を見終わったあとのような感覚に襲われました。

 

再会ものとして王道な展開しかないのですが、この漫画を王道と呼ぶことにとても抵抗を感じます。

それくらい独特の雰囲気と世界観があるんです。
切ないとかきゅんとするとか、そんな一言ではとても表せません。

一度は終わりかけた初恋が13年越しに動き出す様を、時間をかけて丁寧に描かれています。

自分のことが第一で相手にまで気が回らない・・・そんな不器用で臆病な初恋のお話。
ぜひ読んでみてください!

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