BL沼にハマり、今まで累計5,000冊のBLを読みました!
ARUKU「発熱バスルーム」のネタバレ込みの感想をご紹介します。
- シリアスなテイストの作品が好きな人
- 監禁犯×被害者という関係にドキドキしたい人
- ストーリー・心理描写を重視した作品を読みたい人
- 感動のクライマックスに涙したい人
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発熱バスルーム『カップリング』
監禁犯(裏社会系の仕事)
×
サラリーマン(元無職)
執着
俺様
ヤンデレ
天然
美人
発熱バスルーム『BLジャンル』
切ない
泣ける
溺愛
ダーク
発熱バスルーム【あらすじネタバレ】まとめ
夕日坂見晴は、出勤前に自宅玄関の前に置いてある植木鉢にカメラが仕掛けあることに気がついた。
見晴は現在、訪問販売(ブラック企業)の仕事をしている。
基本給12万円という安月給なので、営業をして顧客を取らなければ生活ができない。
ということで、英語教材を販売するためにたくさんの家を訪問するのだが契約がまともに取れずにいた。
営業成績が悪いことで、今日も社長にたくさん怒られた。
仕事が終わって帰宅した見晴は、今朝見かけたカメラをチェックしたのだが、もうすでになくなっていた。
「見間違えかな」と思い、そのまま自宅に入った。
翌朝、見晴が会社に出社すると、社員全員が慌ただしく駆け回っている。
どうやら社長が夜逃げしたらしい。
会社倒産で差し押さえが入る前に、金目になりそうなものは持って帰ると社員は躍起になっていた。
突然の会社倒産、そして解雇。
今月分の給料ももらえないようで、見晴は途方にくれた。
見晴は悲観的になるも、とりあえずは家に帰って寝ることにした。
次に見晴が目を覚ました時は、見知らぬ場所のバスルームの中だった。
見晴が目を覚ましたと同時に、メガネをかけた若い男がバスルームに入ってきた。
「実物は映像の中よりもずっと可愛い」と、男は見晴に言う。
男はマナトと名乗り、見晴の生い立ち・プロフィールはすべて知っていた。
しかも見晴の家には隠しカメラがつけられており、マナトは今まですべて覗き見していたという。
見晴の顔はどんどん青ざめた。
御構い無しにマナトは、見晴のことを「可愛い」「可愛い」と言い、終いには「見晴を抱きたいから抱くよ」と言いだす。
頭の理解が追いつかないまま、見晴はマナトに抱かれてしまう!
それから見晴の監禁生活がスタートする。
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発熱バスルームを読んだ感想
今更ながらARUKU作品にハマっている私です。
絵に少し癖があって、独特な世界観から今までなんとなく読む機会がなかったのですが・・・
一度ARUKU作品の世界にハマってしまうと抜け出せないほどの中毒性があります。
痛いほど切ないんだけど、感動必至で涙が止まらないドラマチックな展開に、今となっては読まずにはいられない・・・
ストーリーテイラーと名高いARUKU先生の作品は、言葉選びひとつひとつが秀逸なので、ストーリー性やキャラクターの心理描写を重視している方には、是非とも一度ARUKU先生の作品を読んで欲しいと思います。
『発熱バスルーム』は、ARUKU先生作品の中でも割とARUKUワールドの色が濃く出ている作品だと思います。
両親が鬼籍に入り天涯孤独の主人公・見晴。(←主人公が不憫系幸薄美人というのはど定番です)
基本給12万円のブラック企業に勤めていたものの、社長が飛んでしまい突然の無職に。
そんな見晴の前に現れたのが、謎の男・マナトです。
見晴の日常生活は、マナトによってすべて監視されており、いわゆるストーカーみたいな男です。
見晴が職を失ったと同時に、マナトは見晴をある建物内にあるバスルームに監禁します。
マナトは、「溺愛」という言葉では足りないくらいに見晴への執着心がものすごいので、見晴を監禁すると早速抱きます。
「可愛い」「好き」とか甘い言葉をたくさん見晴に囁き、それはもう蝶よ花よと見晴を可愛がります。
しかし、あくまでも監禁犯(+レ●プ魔)とその被害者。
どんなにマナトが見晴のことを愛していようと、見晴はバスルームから出ることを許されずひたすら監禁し続けられるのです。
こう言った監禁犯と被害者もののBLって「ストックホルム症候群」みたいな感じになるじゃないですか。
まさに見晴もだんだんとマナトのことが好きになって行くのですが・・・
その時の見晴の葛藤がヤバいです。
「こいつは監禁犯で最低な男だ」と思う反面で、監禁され孤独な見晴が唯一気を置ける存在でもある。
相反する両極端な気持ちに揺さぶられながら葛藤する見晴の姿は、悲惨な現状にも関わらず儚げで憂いを増しており、不謹慎ながらも「美しい」と思ってしまいました。
本作の大きな見どころは、マナトの見晴への執着心です。
常に見晴を監視をしており、見晴が自殺を図ろうとすればすぐに助けに来るし、見晴が逃亡すれば全力で探し出します。
溺愛というか狂愛です。
愛情にはいろんな形があると思いますが、マナトが見晴に抱いている愛は「恐怖」を感じるほど執着心がものすごいです。
しかし、なんでマナトはここまで見晴に執着しているのでしょうか。
「一目惚れだった」とか「初恋の相手だった」とか、そんな爽やかな感情ではここまで見晴に執着しないことは容易に想像できます。
ネタバレになるので詳細は伏せますが、見晴とマナトの置かれた関係性はなかなか残酷で、見晴もさることながらマナトも相当に不憫な男で胸が痛くなりました><!
マナトの過去や見晴とのつながりが分かると、「あぁ、共依存系のBLだったんだ」と胸にストンと落ちたのですが、それでも共依存という言葉で片付けるには言葉が足りないくらいに、2人の感情はもっとぐちゃぐちゃで複雑です。
読み手としては「またすごい2人を組み合わせたな」と拍手を送りたくなりました。
心理描写やキャラクターの気持ちの遷移を少しでもミスったら大事故になりそうなくらいに、マナト×見晴はかなり難しいカップリングだと思います。
それを見事に描き切ったARUKU先生はさすが!
しかもクライマックス付近は感動して涙が止まりませんでしたからね。
ますます先生の世界にどっぷり浸かる私なのでした><!
キャラクターが自分語りをする描写が多いので、陶酔系の作品が苦手な方には向かないかもしれませんが、その反面でしっかりとしたストーリー構成と心理描写にとても定評のある作家さんの作品なので、ぜひ一度読んでみてくださいね。
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