不憫すぎる受け
主従関係
BL沼にハマり、今まで累計5,000冊のBLを読みました!
田中森よこた「たぶんきっと、明日のナズナは」のネタバレ込みの感想をご紹介します。
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たぶんきっと、明日のナズナは『カップリング』
ご主人さま(人間)
×
男娼(ネコのけもの)
俺様
男前
ケモミミ
健気
ワンコ
天然
不憫
ショタ
たぶんきっと、明日のナズナは『BLジャンル』
主従関係
エロ多め
切ない
たぶんきっと、明日のナズナは【あらすじネタバレ】まとめ
ネコのけもの・ナズナは、売れない男娼。
店ではほとんど客が付かず、付いたとしても「うるさい」「つまらない」とぶたれるばかり。
過去には何度か引き取り手が名乗り出てくれて、買い取られたこともあったが、「役立たず」「もう要らない」と捨てられ、娼館へ戻されてしまった。
今では、3畳ほどの狭い部屋で首輪に繋がれている。
自由はどこにもない状態だったが、ナズナは“きっと明日は今日よりもいいことがあるはず”と言い聞かせて、必死に生きていた。
そんなある日、セリという人間がナズナの飼い主に名乗り出る。
ナズナは張り切ってセリの元に向かい、大声で挨拶をした。
実はナズナは、3日後に殺処分される予定だったのだ。
けものの殺処分は一般的に、生きたまま斧で身体を切られ、動物の餌になる……と言われている。
セリに引き取られたおかげで殺処分の話しは白紙に戻ったものの、もしもセリに捨てられたら今度こそ、ナズナは殺されてしまうだろう。
ナズナはセリを「旦那さま」と呼び、気に入ってもらえるように、可愛がってもらえますようにと願った。
しかし旦那さまは「すぐ買えるものが欲しいと言ったらお前がきた。肌は黒いし学習能力もなさそうだな。安かったのも納得だ」と言う。
ナズナは旦那さまの話を聞きながら、“そうだよね。ぼくだって選べるんだったら、ナズナなんていらない”と納得。
そして旦那さまにされるがまま、ベッドへ転がされたのだが…。
旦那さまは、ナズナの胸や下半身をやさしく撫でてくる。
身体がゾワゾワして、口からは変な声が漏れて、ナズナはパニック状態に陥ってしまった。
男娼として働いていたナズナにとってセックスは、“突っ込まれて出されるだけ”という認識で、痛いものでしかなかった。
だからご主人さまの愛撫の意味も、“気持ちいい”という感覚も理解できない。
やがて気持ちよすぎて、ナズナは失神、失禁。
おぼろげな意識の中で、“ぼくにはセックスくらいしか役に立てることがないのに、どうしてぼくの身体使ってくれないの…”と寂しく思った。
翌朝目覚めたナズナは“あんな粗相をしたのに、爪も剥がれてないし殴られてもない…なんで?”と不思議でたまらなかった。
その後も、ナズナは掃除をすればバケツをひっくり返し、皿洗いをすれば全部割り、庭の掃除に出ればカラスに襲われる有様。
びっくりするほど役に立たなかったのだが、それでも旦那さまは暴力を振るわなかった。
それどころか、旦那さまはナズナの首に傷があるのを見て、包帯代わりにハンカチをプレゼントしてくれて…?!
他人から優しくされた経験のなかったナズナは、だんだん旦那さまに心惹かれてしまう!
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たぶんきっと、明日のナズナはを読んだ感想
『たぶんきっと、明日のナズナは』は、人間と“けもの”が暮らしているファンタジー世界を舞台にしています。
けものの身分は低く、売買されるのが当たり前。
中でもナズナはかなりのドジっ子なので、お客さんからの評判がいまひとつなんですよね。
ナズナは過去、お客さんのイチモツに歯を立ててしまった罰として牙を抜かれたりもしています。
なのでナズナには、牙がありません…。
そんな不憫なナズナを引き取ったのが、セリという旦那さま!
旦那さまはナズナに向かって「やくたたず」「手間を増やすな!」「犬猫のほうがまだマシだ!」などと厳しい言葉をぶつけますが、絶対に暴力は振るわないんですよ。
むしろ、ドジなナズナにでもやれる仕事を探してあげているフシすらあります。
一般的に見れば、暴力を振るわないことなんて当たり前なんですけどね…。
ナズナにとっては、すごく特別なことなんです。
そんなある日、ご主人さまがナズナを引き取ってくれた“本当の理由”が明らかに!!
この理由が素敵すぎました…。
ご主人さまは口が悪いだけで、実はめっちゃくちゃいい人です。善人です。
ご主人さまの欠点といえば、口が悪いことと女関係にだらしないことくらいでしょうか(笑)。
ナズナはご主人さまがナズナを引き取ってくれた“本当の理由”を聞いてからというもの、みるみるうちに旦那さまに惹かれていきます。
しかしナズナは生い立ちのせいもあり、自己評価がめちゃくちゃ低くて、ハナから“旦那さまと気持ちが通じ合うこと”を望んでいません。
ナズナは自分の胸の中だけでこっそりと旦那さまへの恋心を育てつつ、至って普通に振る舞います。
旦那さまが女の子を侍らせていてもじっと耐えて、旦那さまから貰ったお菓子を宝物のように大切にしているんです…。
最初から最後までナズナがいじらしくて可愛くて健気で、涙なくしては読めませんでした。
口は悪いけど実は優しい攻め×健気過ぎる受けのすれ違いまくりラブストーリー。
どこかほっこりとした気持ちになれる、シリアステイストな作品です。
一方で、“身分差を乗り越える壮大なラブストーリー”という側面もあります(笑)!
ストーリー性が充実していて、最後までハラハラドキドキしながら楽しめますよ。
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